- ベトナムで働いているけど、ベトナムの税金の天引き金額ってどうやって計算されるの?
- 毎月天引きされる健康保険とか社会保険って何?
- ベトナムの税金は高い?
私はベトナムで現地採用として働いて3年目で、毎月欠かさず給料の支給金額が正しいかどうかをチェックしています。
この記事では、ベトナムでの手取り給料の計算方法を、なるべく分かりやすく解説します。
この記事を読めば、どれだけ税金と保険で引かれるか理解できて、手取り給料を計算できるようになりますよ!
【2022年】ベトナム現地採用の手取り給料の計算方法【個人所得税計算】
ベトナムでは、試用期間中と試用期間後で手取り給与額の計算方法が違います。
その間の給料は90%になるのが通例で、このことは求人票にも書かれています。
>> ベトナムに移住する時の初期費用はいくら?どれくらい貯金した方が良い?
正式な雇用契約を交わした後は100%の給与が支払われるようになりますが、手取り給料の計算方法が変わります。
なので、試用期間中と試用期間後の2つの期間に分けて手取り給料の計算方法について説明していきます。
ベトナムの試用期間中の手取り給料の計算方法
ベトナムの試用期間中の給料は「給料×90%」になります。
手取り給料の計算方法は、「給料×90%」に一律10%のPIT(個人消費税)を掛けて終わりです。
ベトナムの試用期間の手取り給与の計算方法は単純
このように、ベトナムの試用期間の手取り給与の計算方法はシンプルです。
理由は以下の通り。
- 外国人労働者も1.5%の健康保険を払わなければならないが、試用期間中は払わなくていいから。
- PIT(個人所得税)が一律で10%なので、11,000,000VNDの基礎控除や累進課税などのややこしい計算が発生しないから。
ベトナムの試用期間中の手取り給与の計算例
例えば、現地採用のA子さんの給料が「35,000,000VND/月」の場合を考えてみましょう。(約1,500USD=約160,000円)
まず、試用期間中なので給与のベースが90%となり、「35,000,000VND×90%=31,500,000VND」となります。
そして、そこから一律10%のPITが徴収され、「31,500,000VND×(1-0.1)=28,350,000VND」となります。
給与のベースが90%であるのと税金で「6,650,000VND(約3.3万円)」引かれていることが分かります。
【2022年】ベトナムの現地採用が正式雇用契約後の手取り給料の計算方法
試用期間の2ヶ月が過ぎて、正式雇用契約を締結した後はめんどくさい計算方法になります。
メモ
【追記】2022年1月より外国人にも8%の社会保険の徴収が課されるようになったため、さらにややこしくなり、かつ手取りが2022年以前と比較してガックリ減りました。
ベトナムの現地採用が正式雇用契約後の手取り給料の計算方法は、下記の通り。
- 健康保険(Medical Insurance:1.5%)+社会保険(Social Insurance:8%)を計算。
- 1を元に課税所得を計算。
- 2を元にPITを計算。
それぞれ詳しく解説していきます。
健康保険+社会保険を計算
試用期間中の計算で出した例の現地採用のA子さん「Gross給与が35,000,000VND/月」で、正式雇用契約後の手取り給料を計算していきます。(約1,500USD=約160,000円)
ベトナムの健康保険は「1.5%」、社会保険は「8%」です。
健康保険と社会保険の計算には、それぞれ上限額があるので注意
単純に給料額に「健康保険の1.5%と社会保険の8%」をかけるのかというとそうではなく、実は基準額(上限額)が用意されています。
その基準額は、32,000,000VND(2020年9月現在)→29,800,000VND(2020年10月以降)です。
これが意味するところは、給料額が2,980万VNDを上回る場合は、2,980万VNDが保険計算の基準額になるということです。
なので、A子さんの給料は3,500万VNDですが、2,980万VNDを保険計算の基準額とするということになります。
Covid19の影響で経済政策の一環として引き下げになったのですが、実質的に納税する保険額が低くなります。
結論、A子さんの健康保険と社会保険の計算額はどうなる?
結論、A子さんの健康保険額は下記の通りとなります。
- 健康保険:29,800,000VND×1.5%=447,000VND
- 社会保険:29,800,000VND×8%=2,384,000VND
2022年1月以前は、社会保険(2,384,000VND)の天引きが無かったので、2022年1月以降は社会保険分だけ手取り給料が減ったということになります。
課税所得を計算
続いて、課税所得を計算していきます。
課税所得とは「この金額を元にPIT(個人所得税)を計算します」という基準額となります。
課税所得には様々な控除が入る
課税所得には、いろいろな控除が入ります。
その一つが基礎控除です。
基礎控除とは、誰でも一律で税金の計算対象から一定額をマイナスしてくれることで、結果的に納税額が安くなるという制度のことです。
ベトナムの基礎控除に関しては、以前までは900万VNDだったのが、2020年7月1日より1,100万VNDとなりました。
この1,100万VNDの基礎控除に加えて、健康保険と社会保険の合計額も控除対象になります。
実際の計算額
課税所得の計算式は以下の通りです。
課税所得=(Grossの給与額:35,000,000VND)ー(基礎控除:11,000,000VND)ー{(健康保険:447,000VND)+(社会保険:2,384,000VND)}
結果、課税所得は「21,169,000VND」になります。
続いて、この課税所得を元にPITを計算していきます。
PIT(個人所得税)を計算
個人所得税(PIT)を計算する前に、以下の所得税の税率表をご覧ください。
ベトナムの所得税は高いという話もありますが、日本と比較すると確かに高いです。
日本円換算で月給約40万円で、上限の35%まで到達します。
課税所得(VND)/月 | 所得税率 |
~500万 | 5% |
500万~1000万 | 10% |
1000万~1800万 | 15% |
1800万~3200万 | 20% |
3200万~5200万 | 25% |
5200万~8000万 | 30% |
8000万~ | 35% |
PITの計算には、この表の使い方を理解することが重要なので詳しく説明していきます。
PITの表を用いた計算方法とは?
税率が低い方から自分の給料額まで、課税所得の税率ごとに税金を計算していき、それぞれの税額を足していくイメージです。
例えば、A子さん(課税所得:21,169,000VND)の場合このような感じで計算していきます。
- 0~500万VND:(500万VND-0VND)×5%=250,000VND
- 500万VND~1,000万VND:(1,000万VND-500万VND)×10%=500,000VND
- 1,000万VND~1,800万VND:(1,800万VND-1,000万VND)×15%=1,200,000VND
- 1,800万VND~23,553,000VND:(21,169,000VND-1,800万VND)×20%=633,800VND
全て足すと、2,583,800VNDとなります。
税率ごとにまとめて計算していくのがポイントです。
ベトナム現地採用の正式雇用契約締結後の手取り給料の計算例
これまでの計算で、以下の計算が完了しています。
- Grossの給与額:35,000,000VND
- 健康保険:447,000VND
- 社会保険:2,384,000VND
- PIT(個人所得税):2,583,800VND
これに加えて、新型コロナの補助金が政府から支給されており、給料の0.5%が加算されます。
これらのすべての数字を使って計算していきます。
計算方法としては、給料額から「健康保険+社会保険+PIT」を引いて、新型コロナの補助金を最後に加算します。
(給料額:35,000,000VND)ー{(健康保険:447,000VND)+(社会保険:2,384,000VND)}-(PIT:2,583,800VND)+(補助金:175,000VND)=29,760,200VND
結論、29,760,200VNDがA子さんの正式雇用契約後の手取り給料額となります。
【2022年】ベトナム現地採用の手取り給料の計算方法【税金と社会保険】まとめ
いかがでしたでしょうか?
ベトナムでは給料計算のミスが起きることがあります。特に昇給時などの変化点がある時に起きやすいです。
そのため、自分の身を守るためにも、自分でもきちんと計算方法を理解しておいた方がいいです。
一度自分で計算してみるととても簡単ですので、ベトナムで働いている方はぜひ一度自分で計算してみてください!