ホーチミン在住者からの視点で、2021年4月後半から始まった新型コロナ第4波を時系列で振り返っていきます。
ベトナムのコロナ対策の特徴は、「速攻」「厳格」です。とにかく対策を打つのが早く、国民に有無を言わさず言うことを聞かせる厳格性を感じます。
そういったベトナムのコロナ対策を実際に体験してその時に思ったこと、そしてどういう行動をとったのかについて紹介していきます。
【ベトナム新型コロナ第4波】はじまりは、2021年4月終わりの大型連休だった
2021年4月の段階では、ベトナム国内で市中感染はほとんどありませんでした。
その時は外出も自由で、経済活動の制限もなく、省をまたいでの旅行も可能でした。
そんな中突入した4月30日~5月3日までの4連休。
ベトナムに来てから初の大型連休ということもあり、僕はダラットへ旅行に出かけました。
ベトナムの2021年4月末からの連休のダラットは、人がすごかった
ダラットはベトナムの中でも人気観光地ということもあり、とにかく密・密・密でした。
そして、ダラット行きのバスも乗車率100%、ホーチミンに帰るバスも乗車率100%。空席無し。
ダラットに向かう時の道もあり得ないくらい混雑していたというニュースもありました。
>>【参考:POSTE】ベトナム大型連休、ダラットには12.5万人 国道で大渋滞も
気候が涼しく快適でしたが、とにかく人が多かったという印象です。
久々の活気に心躍りながらも、「この密は果たして大丈夫なんだろうか?」「1人でも陽性者いたらアウトだなぁ」と思っていました。
連休明けに衝撃ニュースが
3泊4日のダラット旅行から帰って、通常通りの仕事をこなしていました。
そしてホーチミンに期間して数日後、新型コロナ感染者が連休中にダラットにいたことが判明。
>>【参考:POSTE】新たに新型コロナ感染者、連休中にダラットに立ち寄り
ベトナムのすごいところは、感染者になると「どこ」で「何をしていた」のか全て公衆に晒されます。
そして、僕のような一般市民で同じところにいた人は、ニュースで感染者の動きを知り、自分が感染者と会った可能性があるのかないのかを確認する必要があります。
僕はラッキーにも、感染者が立ち寄った時間帯は、既にダラットを去っていたので特に問題はありませんでした。
今思えばこの出来事は、一歩間違えれば自分も危なかったという点において、新型コロナ第4波の予兆を感じさせるに十分なインパクトのあるものでした。
【ベトナム新型コロナ第4波】2021年5月はじわじわと規制がかかった
ダラット旅行に関しては、何事もなく平穏な日々を取り戻しつつありましたが、5月は不穏な空気が流れつつあった月だったなと感じます。
5月中旬以降で、じわじわと感染者が増えてきます。しかも感染源が不明という状況でした。
>>5月18日POSTE:ホーチミンで新規コロナ感染者、域外訪問歴なく感染源不明
>>5月19日POSTE:ホーチミンで新たに新型コロナ感染者、感染者と同じ勤務先の女性
とはいえ、この時は「まだまだ余裕」みたいな空気感もあったように思え、通常通りの経済活動を行っていました。
ただ、このあたりから僕が取っているベトナム語のクラスが度々キャンセルになったりして、じわじわと不自由を感じ始めた時期でもありました。
そして、5月20日のニュース。
変異株が見つかり、いよいよ規制が強まりそうな気配が漂い始めます。
>>5月20日POSTE:ホーチミン新型コロナで感染の男性、インド型変異株への感染を確認
>>5月20日POSTE:ホーチミンで新型コロナ感染拡大か、3区などで感染者 各地で封鎖も
そして間もなくして、規制が強化されました。
小中規模のレストランの営業に規制が入り、そしてGrabに乗る時に医療申告が必要になりました。
>>5月21日POSTE:ホーチミン、レストランの営業についての措置発表
>>5月21日POSTE:グラブ乗車前の医療申告提出や乗客の人数制限を発表 ホーチミンで
この時点で、自分の生活が以下のように変化しました。
- レストランでの外食を控え、デリバリーに切り替えた。
- Grabに乗らなくなった。(単純に感染が怖いので出歩きたくなかったのと、医療申告が面倒というのもあり。。。)
宗教団体でのクラスターで、より規制が厳しく
そして、5月27日のニュース。
さらなる規制を決定づけてしまった、宗教団体でのクラスターが発生しました。
>>5月27日POSTE:ホーチミンの擬陽性者25人に、宗教団体でのクラスターか
このクラスターでの感染拡大を受けて、政府による規制が強化されるのは時間の問題という風潮になりました。
この時点で、僕の勤める会社では、ほぼほぼ間違いなく在宅勤務になるであろうという感じになっていました。
そして、ほどなく理髪店のサービス停止が決定。
この時点で髪が伸び切っている状態で、「これはいかん!」ということになりまして、速攻で5月27日の昼間に行きつけの理髪店に電話して、その日の18時半開始で何とか予約を取りました。
>>5月27日POSTE:10人以上の集会禁止、美容施設・レストラン閉鎖:ホーチミン
医療申告をして散髪に行って、19時頃に髪を切り終えた時、公安が店に来て「今すぐ店を閉めなさい」との指示。
担当の美容師さんに聞いたところ、19時以降のお客さんは全てキャンセルという話でした。
髪が切れないのは辛い。。。
【ベトナム新型コロナ第4波】2021年6月、社会隔離(首相指示15号)が始まった
5月31日、ついに社会隔離(首相指示15号)が発動しました。
>>5月30日POSTE:ホーチミン、5月31日から社会隔離を適用
これに伴い、自分の勤める会社はリモートワークへ移行。
僕も、完全引きこもり状態へ移行。
- 5月27日に散髪のためGrab bikeで外出して以来、一切外出しなくなった。
- ご飯はデリバリー。
- ベトナム語の対面授業は全てキャンセル。
- 一切、他人と会わず。
この時は、「まあ…言うて1ヶ月あれば終わるでしょ。」くらいに思ってましたが甘かったですね。。。
社会隔離中にも関わらず増え続ける感染者
6月に入ってからは、首相指示15号に基づく社会隔離の生活です。
なので、外出もせず、ひたすらリモートワークで仕事をする日々を送っていました。
ですが、出てくるニュースは感染者が増えましたというものばかり。
>>6月11日POSTE:国内で新たに41人のコロナ感染、感染経路不明も:11日朝発表
>>6月18日POSTE:新たに81人がコロナ感染、ホーチミンは60人で最多:18日朝発表
というのも首相指示15号では、人の集まりがそこまで規制されていない印象でした。
フードデリバリーを受け取りに外に出ると、人々は外で集まって喋ってたりするわけで、これでは収束するわけないよねと思っていました。
そして、そんな状況もあってか、6月20日から規制がさらに強まります。
内容としては、ほぼ16号の内容となり、主に外出禁止を印象付けるような内容でした。
それでもフードデリバリーはまだ動いている状況だったので、特に僕の生活の質を落とすような規制ではありませんでした。
散髪は行きたかったですが。。。
>>6月19日POSTE:ホーチミン:社会隔離厳格化を決定、自宅待機タクシーの運行停止など
それでも感染者は減少傾向には転じず、7月に突入します。
【ベトナム新型コロナ第4波】2021年7月はPCR検査と社会隔離(首相指示16号)
そして2021年7月に入ります。
ホーチミンだけで1日当たりの感染者数が100人を超えてくるようになりました。
>>7月1日POSTE:ベトナムで189人の新規感染者、ホーチミンで158人 1日朝発表
>>7月2日POSTE:ベトナムで147人の新規感染者、ホーチミンで118人 2日朝発表
そして7月1日の夜。
唐突に「全住民にPCR検査をするから参加するように」と、アパートの管理会社から連絡が来ます。
ベトナム・ホーチミンでの新型コロナスクリーニング検査はぐだぐだだったが、良い経験だった
アパートの管理会社から、Zaloで下記のようなメッセージが来ました。
- 7月2日AM9時~11時で新型コロナのスクリーニング検査を行います。
- 会場は近くのショッピングモール。
- パスポートを持ってきてください。
ということで、AM9時前にアパートの管理会社の受付の人に用紙を渡されて記入し、それを持って会場へ突撃しました。
事前に時間通りに始まらないことはなんとなく情報キャッチしていたのですが、予想通り9時には始まらず、一旦帰宅。
管理会社の人が「検査が始まったらメッセージするから」ということで、メッセージを待ち続けること8時間。
ようやく17時に「今から23時までの予定で検査を行います」というメッセージをもらったので、速攻で会場へ向かいました。
ですが、また撃沈。
皆、待っていましたとばかりにすごい人だかりができており、めちゃくちゃなカオス状態となっていたので、また帰宅。
結局20時に再度突撃し、その頃には人だかりが収まり良い感じで列を作っていたので、その列に並び30分程度の待ち時間で検査受験。
そんなに痛くありませんでした。
もし、またスクリーニング検査がある時は、時間をずらしていった方が良いという教訓を得ました。
ちなみにパスポートを見せることは一切ありませんでした。
かなり人数が多かったのでしょうがないかもしれませんが、替え玉も余裕でできた状況だったので、このスクリーニング検査に意味があったのかは今でも疑問です。
社会隔離の規制度合いMAXの首相指示16号発動!
そんなスクリーニング検査を経て、さらに感染者数は拡大しつづけます。
スクリーニング検査をしているからこそ無症状者があぶりだされたとも言えますが、減少傾向を全く見せません。
>>7月7日POSTE:新規感染者400人、ホーチミンで計8002人に 7日午後発表
そしてついに7月9日、首相指示16号が発動します。
>>7月7日POSTE:ホーチミン、首相指示第16号の社会隔離を適用、9日から15日間
今回の首相指示16号の規制内容は、不要不急の外出禁止に加えて、僕のライフラインかつ唯一の楽しみであったフードデリバリーの禁止が含まれてしまいました。
>>7月9日POSTE:ホーチミン:飲食店のデリバリーも禁止に
これにより、カップラーメンなど、備蓄食料を買い物せざるを得なくなりました。
僕は、外出時に警察に捕まるのが怖いので、Grab martの買い物代行で食材調達を済ませました。
とはいえ、料理をしないのでかなり困っています。。。
そして、7月10日のニュース。
ホーチミンだけで感染者が1,000人を超えています。
>>7月10日POSTE:ベトナム:10日の感染者1844人、今後5日間の感染者数1万人か
ベトナムではフェイクニュースが度々流れる
ベトナムでは、度々FacebookなどのSNSでフェイクニュースが流れるそうです。
今回のフェイクニュースの内容は、下記のような内容だそうです。
- 更に規制が強くなる。
- 買い物がチケット制になる。
- 政府の管轄する機関のみ、買い物代行のデリバリーを行える。
このフェイクニュースにより、人々はスーパーに駆け込み、食料を買い込んだり、転売目的(?)で大量購入している人もいたようです。
場所によっては、スーパーの生鮮品(野菜や果物、卵)が売り切れたり、値段が高騰したりしているそうです。野菜の価格が2倍、3倍になっているとも聞きました。
この騒動から、ベトナム人の友達や同僚からそういった情報を早めに仕入れて、早めに対策を打つのが大事だなと感じました。
7月25日以降のホーチミンがどうなるのか?政府がシナリオを提示しました【7月14日ニュース】
現在発動している、7月9日からの首相指示16号の後のシナリオがどうなるのか?
政府がシナリオを提示しました。
>>7月14日POSTE:ホーチミン:今後のシナリオ想定、感染拡大の場合は社会隔離を強化も
シナリオは、感染状況によって3つに分けられます。
- 抑制出来たら、少し規制を緩める。(首相指示15号に戻す)
- 感染者がこのまま増加し続けるようなら、首相指示16号継続。
- 首相指示16号でも制御できない場合、さらに強い規制をかける。
規制が緩んだシナリオの場合、デリバリーの復活が期待できそうです。
ですが、その場合でもまだ首相指示15号レベルの規制が残るため、散髪はまだできないだろうし、リモートワークは継続になることでしょう。
いずれにせよ、感染状況を注視する必要がありますし、まだまだコロナとの戦いは続きそうです。
以上、ホーチミンよりお伝えしました。
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